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英語の勉強法

TOEIC600点への最短・最楽学習法【コラム(9)】

日本語を活用した英会話習得法
「TOEIC600点への最短・最楽学習法」
テストの性質を知れば道は開ける!

(この記事は日経ビジネスオンライン 2016年2月6日に掲載された池田和弘氏のコラムです)

 

私たちは、なんとなく英文は真正面から英語で読んでいくものだと思いがちですが、日本語を活用すると全く違った効果を引き出すことができます。同じようなことは日本語の本、つまり、和書を読む場合にも当てはまり、概要を知ってから読むのと、知らないまま読むのとでは読書スピードが大きく変わってきます。たとえるなら、これは、どこか知らない土地を歩くときに、簡単であっても地図があると方向感覚が生まれ、速く的確に目的地にたどり着くことができるのと同じです。

 

英語教育4つの弱点

さて、この点を含めこれまでの英語教育には大きな弱点が4つあります
それは、

①音読練習がほとんど無い(=英語が自信を持って読めない)
②複雑な文法
③「英語で英語を」という考え方
④問題を解かないと英語力はつかないという考え方

――の4つです。

 

まず①については、言葉はどんなものでも同じで、自信を持って読み上げることができないと効果的に身に付きません。ところが、日本の英語教育ではこの、もっとも重要な点についてトレーニングしません。テストに出ないからです。

②についても、このコラムの中で5文型が特には必要ないという点を、例をあげてお話ししました。私が提唱する「受信文法」というのは、上で述べた地図のような役割をする文法で、解説はとてもシンプルです。文法がシンプルになると、心が軽くなり、やる気が出ます。

③については、MBAレベルの英語でなくても同じことが当てはまり、日本語で頭を活性化しておくと、読めないものが読め、さらに速く読めないものが速く読めるようになります。日本語をうまく活用するのは、国内で英語を効果的にマスターするためにとても大切な点です。

さて、④についてはどうでしょうか。「問題を解いて英語力をつける」というのは当たり前のことのように思えます。しかし、ここにも落とし穴があります。国内の受験関係の演習問題・テスト類の場合、「問題を解く=英語力がつく」ということにはなりません。どちらかというと無用な苦労をして遠回りすることになります。使える英語となるとさらに敷居は高くなります。なぜかというと、受験英語では大抵の場合、テストとトレーニングが区別されていないからです。そのため、「テストに出るから・・」という理由で、テスト問題をそのままトレーニングに使う傾向が強くあります。

例えば、態の変換や話法の変換など、英語を身に付ける上で何の意味もなく、むしろマイナスにしかならない演習がいまだに行われているのも、このような問題が過去にテストに出題された経緯があるからです。さすがに今では稀なのですが、すでに演習用の問題として定着してしまっているために、いまだに文法書でもかなりのページを割いて解説されています。

テストとトレーニングは全く異なるものです。テストはあくまでもトレーニングによって身に付けた力を「測定する」ツールで、トレーニングは英語力そのものを「養う」ツールです。目的が違うのですから、当然、使用すべき問題形式も異なってきます

 

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問題を解かずにTOEIC600点

さて、ではTOEICがどのようなテストになっているかというと、受験英語とは真逆です。つまり、上で挙げたような、細々として、ときに奇怪な問題は出題されません。そのため極端な話、TOEIC自体の問題を1問も解かなくても高得点を取ることが可能です。

例えば私の知り合いには、問題を解かずにTOEICで600点を、それも高校3年生の終わりまでに取った人がいます。彼女は、以前に「『遊び心』がないと英語力は身に付かない」の回で紹介した「遊びながら学ぶ極意」の彼女に似ています。つまり、高校文法で英語が分からなくなり、いったん文法書や問題集から離れ、自分の好きな映画やドラマを教材として、英日の字幕を参照したり、辞書を引いたり、また好きな役者のセリフをそっくり真似て暗唱したりして学習し始めたのです。そして、この方法で楽しみながら勉強して、難なく600点をクリアーし、そのまま大学の入試にも合格して、帰国子女のクラスに入ってしまいました。にわかには信じ難いと思いますが、TOEICというテストの性質について理解できると、十分に有り得る話だと分かっていただけると思います。この人が、文法についてほとんど知らないことを私自身は知っています。

なぜTOEICでは、このようなことが可能なのでしょうか? それは、日本の受験英語のテスト類と異なり、TOEICは「英語への慣れ具合」を測定するように作られているからです。

TOEICが、私たちにとって過酷ともいえる速読・速聴を求めるのはそのためです。また、とくに重要な点として、TOEICでは文法・語法についても、このコンセプトが貫かれており、細々とした点について問うてきません。ほとんどが、ごく基本的な文法ポイントや語彙力を問う問題です。そのため、映画やドラマで学習しようと、また海外に住もうと、何をしようと、英語に慣れてさえいれば、問題を解かなくても高いスコアが取れてしまうのです。

 

受験英語の抱える問題とは?

これに対して、日本の英語教育では文法的な正確さや用法の違いにこだわりますこれは英文を作る、つまり英作するという発想が根底にあるからです。つまり、ルールをしっかりと覚え、それを使えるようにしないと英語は使えないという発想です。このような発想のもとでは、初心者の時から常に「正確さ」が厳しく求められるため、英語力を身に付けることができないまま疲弊し、英語を嫌いになるケースが多発します。

たとえば、受験英語では、つぎの( )に入れる前置詞を問うような問題が出題されます。

We left our town (      ) the morning of April 3rd.
(私たちは4月3日に町を出ました)
1. on 2. with 3. in 4. within

 

正解は1のonで、解説は次のようになります。「特定の日の朝の場合には、inではなく、onが使われます」。しかも、morningについては、つぎのように前置詞が不要なケースもあります。

We left our town this morning.
(私たちは今日の朝、町を出ました)

 

これに対する説明は、「this morning は副詞なので前置詞は必要ありません」ということになります。英作という発想で考えると、これらの点についてすべてきちっと理解し、覚えていく必要があります。しかし、morningたった一語についてさえこれですから、他の名詞、前置詞、さらに形容詞、副詞、代名詞、動詞の用法となると膨大な数になります(※)。

(※)文法の細部を問い出すと、たとえば、this morningというのは「今日と言う特定の日の朝ではないのだろうか」といった、ある意味で妥当、ある意味で無用な疑問を持つ人も出てきて、収拾がつかなくなることがよく起こります。四択問題ではとくにこの傾向が強く、正解を教えても、自分の答えが間違っている場合、「どうしてこれは間違っているのですか」と、ある意味でとても素直な、ある意味で悪夢のような質問をしてくる場合がよくあります。このようなことが起こるのは、四択問題の選択肢の中には、必ず1つ、「学習者を迷わせることを目的としたもの」(distractorといいます)が含まれているからです。これでは、肝心の「正しい英語」がなかなか身に付きません。

文法ポイントについて、「気づき」を与える程度のことを行うのは決してマイナスではありません。上の例だと、「意味が少し違うと前置詞も異なってくる場合があるわけだ」とか「前置詞がいらない場合もあるわけだ」という程度のことを軽く知っておくことは、むしろプラスになります。問題は、これをテストで問い、さらに英作文までさせようとすることにあります。なぜなら、細部について問うた瞬間に、英語は「とてつもなく巨大なジグゾーパズル」となってしまうからです。ここに日本の英語教育が泥沼化する原因があります。

一方、TOEICではこういった「細部の正確さ」を問う問題がありません。まず英語を大きくつかむ力を養い、そこから徐々に精密な英語力を養う――これがTOEICの発想だからです。実は、この発想は、人間の頭の働き方によく合っています。また、世界の語学教育の流れとも合致しています。

 

ルールvs.直観

それにしても、なぜTOEICは「慣れる」ということにこだわり、直観的に英語をとらえる力を見ようとするのでしょうかその理由は、そのような力こそが使える英語力に直結しているからです。ルールを覚え、ルールを使えるようにするという発想では、実践的な英語力は身に付きません。

以前にも触れましたが、これはサッカーのルールが今の100倍になるとどうなるかについて考えれば分かります。選手たちはつねに右手にルールブックを持ち、「タイム!」と叫び合いながら試合をすることになるでしょう。もちろん、観客もルールブック持参です。また、重要な点として、ボールを思いっ切り蹴ることはご法度になります。試合が速く進むと、ルールについて考える時間が無くなるからです。しかし、こうなると、もうそれはサッカーとは言えません。何か異質なスポーツに変わってしまっています。これと同じようなことが、受験英語で起こっていると考えると良いでしょう(※)。

(※)このように言うのは簡単ですが、一クラス40人からの生徒を授業という人工的な枠の中で教えるというのは並大抵のことではありません。また、高校や大学の入試の内容がいっせいに変わることも期待できませんので、現在の混乱状態は、しばらくは続くことになると思われます。

 

TOEICのメッセージ

私たちが、国文法についての詳しい知識なしに、日本語を直観的に使うことができるように、英語においても「慣れ」を養うことで、直観的に言葉を使う能力につなげるべきだ――それが、TOEICが私たちに送っているメッセージです。この点を良く理解すると、受験英語では経験したことのないダイナミックな世界が広がります。

私たちは、一度は受験英語を通過しないといけない運命にあるわけですが、その後もう一度同じことをする必要はありません。TOEICにおいては「これは自動詞だから・・」とか「これは分詞構文だから・・」といった文法的な解説は不要です。もっと意味にフォーカスした、シンプルな文法(受信文法)で、伸び伸びとトレーニングしながら、気持ちよくスコアを上げていくことができます――少々の「遊び心」を持ちながら。

次回も引き続き、TOEICの特長と効果的な学習方法についてお話したいと思います。

 

英語にかんする限り、私たちの能力は30%程度しか引き出されていません。これはとても残念なことです。このコラムでは、どうすれば残りの70%の能力を発揮できるかについて、日本語を活用するという手法を中心にさまざまな観点からお話していきます(※)。

(※)私は、リスニングとスピーキングを区別し、それぞれに適したトレーニングを組み込んだ「リッスントーク」という会話教材を開発しています。もしご興味があれば、一度サイトにお立ち寄り
ください。

 

参照: 日本語を活用した英会話習得法
「TOEIC600点への最短・最楽学習法」
テストの性質を知れば道は開ける!
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/15/093000004/020200010/

 

著者: 池田 和弘(いけだ かずひろ)
大阪観光大学国際交流学部教授
京都大学卒業後、通訳養成学校を経て、専門学校や予備校での教鞭、執筆活動を行う。
ベストセラーを記録した著書は数々。その後、大阪大学大学院言語文化研究科にて、
理論的ベースを固め、同大学工学部工学研究科で原子力、ナノフォトニクスの
ESPプログラムを開発・実施。「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、
レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など
最新の知見を駆使して、「言語学×脳科学」の視点から学習教材を開発できる
日本有数の英語学習法のスペシャリストである。

 


◇主な著書

『こうすれば速く覚えられるTOEICテストの英単語』(日本実業出版社) 2010

 

『英語がスラスラ分かるようになる魔法の本』(日本実業出版社) 2009

 


◇開発教材

★ 初心者向け「聞けて話せる」実践英会話教材 ★【リッスントーク】

リッスントーク

 

 

 

 

 

★ 超初心者向け「話せる」を実感できる英会話教材 ★【スピークエッセンス】

se-01

 

 

 


◇【マスコミからも注目! 最近の掲載記事】

なぜ英語を「話せない」?たった7カ月で英語が話せる画期的教材!既存教材の盲点克服

2015年3月 ライブドアニュース 

http://news.livedoor.com/article/detail/9950712/

英語得意に

2015年4月 産経新聞 

http://kazuhiroikeda.com/blog/post-1069.html

●ラジオゲスト出演

2015年5月 ラジオ関西 「三上公也の情報朝イチ!」 

https://www.youtube.com/watch?v=j9vhKSNBHp8

“大人の日本人”に合ったストーリー式英単語記憶法

2015年6月 ダイヤモンドQ 

http://kazuhiroikeda.com/blog/post-1134.html

TOEIC満点でも英語が話せないのはなぜ? 言語学者がたどり着いた英会話学習「6つの実践法」とは

2015年8月 現代ビジネス 

http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/44520

英語が苦手な人必読! 「日本語で覚える英語」があなたを救う!?

2015年11月 プレジデントオンライン

http://president.jp/articles/-/16714

 

★ 2015年10月~ 日経ビジネスオンライン連載中 ★  http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/author/15/093000040/「日本語を活用した英会話習得法」

 


◇関連リンク
池田和弘オフィシャルブログ
(http://kazuhiroikeda.com)

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