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英語の勉強法

英文法をシンプルに斬る!【コラム(7)】

日本語を活用した英会話習得法
「英文法をシンプルに斬る!」
常識が正しいとは限らない

(この記事は日経ビジネスオンライン 2015年12月26日に掲載された池田和弘氏のコラムです)

 

前回は、ちょっとした「遊び心」をもって、英語に接する点についてお話ししました。

人間の頭が最も活発に動くのは、「うん、これは面白い!」と思ったときです。
そう思えたとき、強い集中状態が起こり、有り得ないような能力が発揮されるのです。

問題は、いかにして「その瞬間」を英語の勉強において生み出すかなのですが、
その1つの方法が、「ええ~い、遊んでしまえ!」と考えて、
リラックスして英語に取り組むことなのです。

私はよく「頑張らずに頑張って下さい」とアドバイスしますが、
これを聞いて笑顔を返せる人は、極意が分かっている人です。

書き忘れていましたが、前回紹介した「遊びながら学ぶ極意」の彼女は、
勉強時間についてこう答えています。
「気が向いたら勉強を始め、飽きたら止めるようなスタイルだったので
何時間ぐらい勉強したかはよくわかりません」

――これは、ある意味で恐ろしい言葉で、10分ぐらいで止めた時もあれば、
2時間、3時間と勉強したこともあるということです。
でも、よく考えると、私たちが趣味や興味のあることに取り組むときと
まったく同じですね。

さて、私はこうしていろいろな方法で人を動機づけ、
英語を教えてきたわけですが、その中で1つだけ大きな難題がありました

それが文法です。

上記の彼女もレポートの中で「文法はずっと苦手でした」とつぶやいています。
でも、変な話です。
どうして3回生の終わりまでのたった3年間でTOEICのスコアを
“遊びながら”400点から800点近くまで引き上げた人が
文法を苦手だというのでしょうか。

そんなの、本人が気づいていないだけで、“苦手の程度”が違うに決まっている
――そう思った人もいるかも知れません。
しかし、違うのです。
文法が分からなくても英語は身に付くのです。

なぜでしょうか?
実はここに、一般には知られていない衝撃の事実があるのです。
この点について理解するのは意外と簡単です。
1つだけ質問に答えて下さい。
それですべてがクリアーになります。

あなたは、文法が「書く」ためにあるか、「読む」ためにあるかどちらですか

と聞かれたらどう答えますか。
これは「テスト」ではありませんから、思うように答えてみて下さい。

どちらでしょうか。

実は、私はこの質問を権威ある言語学者に聞いたことがあります。
その方の答えは、「書くため」でした――。
これが常識的な答えです。
しかし、実は致命的に誤っているのです。
この発想でいるために、多くの学習者が文法に足をとられ、
にっちもさっちもいかなくなるのです(※)。

(※)文法のワナを右に左にかわし切った優秀な人たちも、
結局のところは通じる英文がなかなか書けませんし、話すこともできません。
だからこそ、誰もがどうしてなのだろう? と首をひねってきたわけです。

ここで発想を逆転してみましょう。
もう一方の視点、「文法は読む」ため、
つまり「意味を読み取るため」にあるという角度から考えるとどうなるでしょうか

例えば、ここに、

I gave / her / a present.

 
という文章があったとします。
見ての通りごく簡単な文です。

しかし、これを「書く」、つまり「英文を作る」という発想からとらえると、
まずルールを学ばないといけません
なぜならルールを知らないと、応用が利かないからです。

① 英語にはルールがある。だから、
② ルールを覚えてその使い方を練習すると、
③ 英語は使えるようになる。

 
そういうこと。
単純な話です。

では、やってみましょう。

① この英文の文型は第4文型でSVOOです。
つまり、主語+動詞+目的語+目的語です。
しかし、これだけでは二つのOの区別がつきません。
文法的に正確に使えるようにするためにはS+V+IO+DOと理解する必要があります。
つまり、主語+動詞+間接目的語+直接目的語です。②さらに、giveは授与動詞で他/動詞。
さらに言うなら、補語を取らない完全他動詞です(※)。
(※)自動詞・他動詞についてはしつこいぐらいに説明されますが、
完全動詞・不完全動詞については普通何の説明もありません。
これはおかしな話です。
なぜなら、目的語よりも補語の方が、はるかに理解が難しいからです。
それにそもそもSVCやSVOCと教えておいて、
自動詞・他動詞しか教えないというのは文法的ではありません。

 
どうでしょうか。
このような解説が他の文法事項についても延々と続くわけです。
その結果、文法書は300ページから600ページにまでにも膨らんでしまい、
学習者は何が何だかわけが分からなくなるわけです。

 

「読む」に焦点を当てればよい

さて、ここで発想を逆転して、「読む」に焦点を当て、
「意味が読み取れれば良い」と考えればどうなるでしょうか。
やってみましょう。

「I=私は」、「gave=あげた」、「her=彼女」、「a present=プレゼント」
――基本はこれでおしまいです。
文法知識が一切なくても、これだけが分かればこの英文の意味は
「私は彼女にプレゼントをあげた」だと、正確にとらえられます。

Superior development capabilities gave / them / a major advantage.

 
……ときても、同じことです。
「superior=より優れた」「development capabilities=開発力」「a major advantage=大きな利点」
と分かれば、どうということはありません。

「より優れた開発力が彼らに大きな利点を与えた」と分かります(※)。

(※)文法が分からなくて英語が分からないと言うよりは、
「語彙」が分からなくて英語が分からないと言うケースがほとんどです。

このようにして、どんどんと英文を読解し、それをリスニングしたり音読したり、
さらには筆写したりするとどうなるでしょうか――

当然、英語力は身に付きます
丁寧にトレーニングすれば、「読む」だけでなく「聴く」、
さらには「書く」「話す」も出来るようになります
つまり、「読める」「意味が分かる」というところからスタートすると、
無理や無駄をせずに、ごく自然な流れで「話す力」も身に付けることができるのです。

どうしてこのような不思議なことが起こるのでしょうか。

それは、英文を読み取る場合には、その文に
「すべての文法が“初めから”正しく与えられているから」です。

ですから、私たちは、ただその英文を(有り難く)素直に吸収するだけで良いのです。
そうすれば、当然、正しい文法も吸収されていきます。
これを様々な英文について丁寧に行うと、ごく自然に応用力に
つながっていくというわけです。

もし、ここに何かマジックがあるとすると、それは“日本語のマジック”です。
「与える」の意味が分からない、「プレゼント」の意味が分からない、
「開発力」や「利点」の意味が分からないとなると完全にお手上げです。

逆にいうと、日本語で分かることなら、大抵のことは英語でも意味が分かります
そして、意味が分かるということは、丁寧に吸収するうちに(文法ごと)
その言葉を身に付けることができると言うことなのです(※)。

(※)もちろん、英語特有の表現というのはありますが、そんなのは
そもそもが文法書を読んで身に付くというようなものではありません。

 

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文法が足かせになる理由

最後に、ルールつまり文法を大前提とする考え方が、どうして大きな障害に
なるのかという点について、別の例をあげてお話しておきましょう。

私たちはサッカーや野球などを観戦したり、
実際にプレーしたりすることがありますね。

しかし、例えば、サッカーのルールブックが文法書の厚さぐらいあると、
どうなるでしょうか
もう何が何だか分からなくなり、観戦することも嫌になるでしょう。
もちろん、プレーなんてできるはずがありません。
これが、これまで日本の英語教育において起きてきたことなのです。

私は自分の苦い体験からシンプルな文法を追い続けてきたわけですが、
その結果、ふと気が付くと「文法の裏側」に突き抜けていたというわけです。

国内で英語を「外国語」として学ぶ場合、ある程度の文法は必要です。
その方が英語をつかみやすいからです。
しかし、上でも見たとおり、その分量や分かりやすさは
従来の文法とは比較になりません。
このような「意味を読み取ること」(つまり読解)にフォーカスした文法を、
私は「受信文法」と呼んでいます(※)。

(※)「文法の有る世界」と「文法の無い世界」をつなぐ境目にあるため、
「インターフェース文法」とも呼んでいます
実際に、私は10年近くにわたって、この文法を使って予備校で
英語を指導した経験があります。
もちろん、TOEICの指導などもすべてこの文法で行います。

英語に関する限り、私たちの能力は30%程度しか引き出されていません。
これはとても残念なことです。
このコラムでは、どうすれば残りの70%の能力を発揮できるかについて、
日本語を活用するという手法を中心にさまざまな観点からお話していきます。
次回も、「受信文法」についてお話する予定です。
結局のところ、文法がもっとも私たちを苦しめている原因だからです。
ここを「軽く」扱えるようになると、英語に対する見方が180度変わり、
全く異なる世界が開けます。

 

参照: 日本語を活用した英会話習得法
「英文法をシンプルに斬る!」
常識が正しいとは限らない
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/15/093000004/122300007/

 

著者: 池田 和弘(いけだ かずひろ)
大阪観光大学国際交流学部教授
京都大学卒業後、通訳養成学校を経て、専門学校や予備校での教鞭、執筆活動を行う。
ベストセラーを記録した著書は数々。その後、大阪大学大学院言語文化研究科にて、
理論的ベースを固め、同大学工学部工学研究科で原子力、ナノフォトニクスの
ESPプログラムを開発・実施。「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、
レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など
最新の知見を駆使して、「言語学×脳科学」の視点から学習教材を開発できる
日本有数の英語学習法のスペシャリストである。

 


◇主な著書

『こうすれば速く覚えられるTOEICテストの英単語』(日本実業出版社) 2010

 

『英語がスラスラ分かるようになる魔法の本』(日本実業出版社) 2009

 


◇開発教材

★ 初心者向け「聞けて話せる」実践英会話教材 ★【リッスントーク】

リッスントーク

 

 

 

 

 

★ 超初心者向け「話せる」を実感できる英会話教材 ★【スピークエッセンス】

se-01

 

 

 


◇【マスコミからも注目! 最近の掲載記事】

なぜ英語を「話せない」?たった7カ月で英語が話せる画期的教材!既存教材の盲点克服

2015年3月 ライブドアニュース 

http://news.livedoor.com/article/detail/9950712/

英語得意に

2015年4月 産経新聞 

http://kazuhiroikeda.com/blog/post-1069.html

●ラジオゲスト出演

2015年5月 ラジオ関西 「三上公也の情報朝イチ!」 

https://www.youtube.com/watch?v=j9vhKSNBHp8

“大人の日本人”に合ったストーリー式英単語記憶法

2015年6月 ダイヤモンドQ 

http://kazuhiroikeda.com/blog/post-1134.html

TOEIC満点でも英語が話せないのはなぜ? 言語学者がたどり着いた英会話学習「6つの実践法」とは

2015年8月 現代ビジネス 

http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/44520

英語が苦手な人必読! 「日本語で覚える英語」があなたを救う!?

2015年11月 プレジデントオンライン

http://president.jp/articles/-/16714

 

★ 2015年10月~ 日経ビジネスオンライン連載中 ★ 
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/author/15/093000040/「日本語を活用した英会話習得法」

 


◇関連リンク
池田和弘オフィシャルブログ
(http://kazuhiroikeda.com)

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